【特別支援教育】読み書きに困難のある子どもたちのICT活用について

こんにちは。
公認心理師で特別支援教育士のはるなです^^

教育委員会の心理専門職として、
小中学校の特別支援教育に関する各種ご相談を
10年以上担当してきました。

今日の記事は、先日受けました
特別支援教育士の資格更新研修の覚書きです。

講義:
ICT活用と読み書きに困難のある子どもの学び

講師:丹治敬之先生
  (岡山大学学術研究院教育学域)

こちらの講義の中から、今回は、
ICT活用の際のポイントについて、
一部ご紹介します。

今さらの、ICTって何?

さて本題に入る前に、
今さらですが、ICTって何の略か言えます?

まぁ知らなくても、
実際に使うぶんには困らないけど。

でも、「小さな疑問」「ごく基本的なこと」を
見過ごさないで、きっちり押さえることも、
悪くないと思うのよ。

「そんな細かい事いちいち気にしてられるか」
っていう気持ちが湧いてきたとしたら、
それはそれで、
先生の置かれている状況が心配になっちゃいます。
余裕なくなってないっすか?って。
追いつめられていませんか?って。

やばい、知らん~っていう先生は、
速攻でぐぐってちょうだい。

私もぐぐったわよ。

Information and
Communication
Technology

日本語の意味は「情報通信技術」です。

学校教育でICTと言えば、
パソコンやタブレット端末、インターネット等の
情報通信技術を教育活動に取り入れることですね。

教科書関係とか、ルビ付きテストとかは、
もうずいぶん浸透してきたよね。

あれさ、LDの子だけじゃなくて、
知的ボーダーの子たちにも活用できたら
だいぶ救われると思うんだよな…。

で、いよいよ次から本題。

講義内容全部を載せるわけにはいかないので、
最後のまとめ部分だけチラリズム♡

結論から言うと、
ICTを活用するのは本人だという視点が重要で、
本人と一緒に試したり、
(効果を)感じたりしながら、
使う・選択するものだという考え方が大切です。

本人がどう思っているか?

本人がICTを使うことをどう思っているか?
ということ。

正直な気持ちをうまく言えない、
思いがわいてこないという子もいるだろうけど、
出来る限り本人の思いとすり合わることが大切。

たとえば、周りから見ると、明らかに、
ICTを使うことの有効性が認められるとしても、
本人にその思いがないとか
困っていないとかいう場合には、
ICTの活用には擦り合わせが必要になってくる。

 

何のために使う?なぜ使う?

ICTは1つの手段。
ICTでなければいけないというものではない。

改めて、ICTだからこその目的や理由を
本人ベースで考えること。

支援者側からすると、
支援内容・学習内容・目当て・目標と
照らしたときに、
ICTによってそれが実現できるんだ、とか
ICTでなければだめなんだ、とか、
ICTがいいんだという、とか、
そういったことが、
ICTを使う目的・理由を考えるうえで重要。

 

いつ使う?

ICTと一言で言ってもたくさんあるので、
どれがいつどんな形で、どう使えるのか
具体的に使う場面を想定して
考えることが大事です。

「ICTを活用しましょう」って
言うことは簡単だけど、
実際はなかなか難しいよね。

 

いま必要?将来も必要?

・ICTを活用していくべきなのか
・どこまでICTを使っていくのか
・ICTによってどこまで力を伸ばせるのか

こういったことを考える際に、
少し先の将来の視点と、今という視点、
両方の視点を持つことが大事。

たとえば、
夢の実現に向かってその支えになるのか、
学びの道具になるのか、
といったこと。

その子の夢の実現や、
将来の職業や生活、受験などを
しっかり考えたいですね。

 

どんな困難がある?

使用目的や理由ともかかわってくる。
そもそもどんな困難があるのかということ。

学習上、生活上のどんな困難があるから、
このICT活用をしていくのだという
実態とセットで考えていくことが重要。

 

本人が主体的に使えてる?

主体的なICT活用ができているか?
本人が自ら感じて、考えて、振り返る
ということができているか?

自己理解やフィッティングとも関連する。

個別の指導計画や自立活動の指導が支えにある。

自立活動の6区分27項目と照らし合わせる。
教科指導における効果的な手立て
学びの道具、文房具としてICTを位置づける
といったことを通して、
効果的なICT活用とはどんなことなのかが
見えてくるだろうと思われる。

※フィッティング
本人の状態に合わせて細かな調整をすること。

 

講義内容のご紹介は以上です。
続いて、感想です。

 

感想・考えたこと

本人がどう思っているか、
本人とのすり合わせが重要という点。

これには一切の異論はない。

嫌がっているものを導入しても効果はないし、
一方的に無理やり使うようなものでもないよ。

だけど現場レベルで一番困るのは、ここだと思う。
本人がイヤと言ったら打つ手がないのか?
って。

学校の先生って、なんだかんだ言って、
やっぱり勉強がわかるようになってほしいって
願う生き物じゃないですか。

だって、勉強がわからなかったら、
学校生活のほぼほぼがつまんないわけで。
なんとかしてあげたい、
学校が楽しいって思ってほしい、と思うのが
教師ってもんです。

スポーツや芸術がものすごくできるから、
そっちの世界で生きていきますみたいな、
小中学校の段階で「勉強はもういいです」って
方向性を早々と打ち出せる子ども・家庭なんて、
超レアケースだろうと思うんです。

第一、親が相当の覚悟をして
腹をくくっていないと
そうはなりませんからね。

だから、その子が少しでも
学びやすくなる方法があるのなら、
本人が拒否るからといって
「はいそうですか」って簡単には言えないし、
言いたくない。

でもこれって、
善意や正義の押し付けなんじゃないか…?

だからこそ、
そういう場合はどうしたらいいのかが、
非常に悩ましい部分です。

在職時代にもこういうケースがありました。
書きが苦手で授業が苦しい
→本人:イライラ、登校渋り
→学校:ICT使って支援しようか?
→本人:みんなと違うのはいやだ!
→親が必死に説得するも逆効果
→本人のモチベと自尊心が余計に下がる
→以下、悪循環。
みたいな。

放課後にお試しで少し使ってみたり、
家庭学習で積極的に使うようにしたりして、
本人がその効果を実感できるように
上手いこと仕向けて行こう(言葉は悪いけど)、と
その子の学年に関わる先生総出で
みなさん本当に頑張ってらっしゃいました。

それと並行して、

本人がなぜ嫌がるのか、
その裏に隠されている本人にとって今一番重要な、
そして解決したいと望んでいる困り事は何か?

そういったことを、心理相談員として
本人や保護者の面接を繰り返す中で把握し、
学校とも情報共有しながら
支援の在り方を探っていきました。

あと、「自分だけ違う」というのは
やっぱり子どもにとっては脅威です。

支援を要する本人の自己肯定感が下がっていると
たとえそれが有効な手立てであっても
導入につながりにくいケースが
どうしても発生します。

皆が自分に合うと思う方法を
それぞれに選んで使える環境が
普段からクラス内にあれば、
「自分だけ」という感覚が減るので
抵抗感も少ないと思いますが、
いきなりそういう状況を作り出すのは
簡単ではないですよね。
(レベル別プリントとかはけっこう
みなさんやってるかも知れません。)

「これを機にそうする」というのも
もちろんアリだし、
すごく良い取り組みになると思いますが、
学校内の足並みとか雰囲気とか
そういうもありますからね…。

やはり、一教員としてできる限りの
ユニバーサルデザイン化の取り組みと
学級内に支持的な風土を
日常的に醸成しておくことが
重要なのかなと思います。

親しくして下さっている某ベテラン先生は、
いつもこう言っています。

特別支援に限らず、
保護者対応でも、学級運営でも、
とにかく先を読んで先手を打っていくと、
あとあと自分が楽なのよ。

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